身元保証サービス

身元保証サービス

2024年12月24日

最近の問題として、おひとり様の身元保証人をどうするかという問題があります。
つまり、配偶者がいない、子供がいない、親族が誰もいない、いたとしても何十年も疎遠であり、いまさら連絡を取ることもできないし、そもそも連絡先さえわからない、そんな人をおひとり様と呼んだりしています。
こういう方が医療機関に入院したり、介護施設に入所したり、又は賃貸住宅を契約しようとしても、保証人、身元引受人を立てることがでできないので、その相手先から難色を示されたり、断られたりします。
こういうときどうすればいいのかについては、正解があるわけでなく、社会福祉協議会の担当者や、ケアマネージャーも困っています。
認知症の高齢者の場合は、任意後見人や法定後見人が指定されている場合は、現実的にはその役割の代理をすることもあるようですが、任意後見人や法定後見人の本来の仕事とは異なります。

身元保証サービス事業者

こういう問題に対応すべく、最近身元保証サービスを提供する事業者がたくさんできているようです。
ただ、これに対して法整備が追い付いておらず、多くの問題が発生しています。
高額な費用を請求したり、金銭の管理に問題があったり、サービスがいいかげんであったりという問題です。
そこで国は令和6年6月に各省庁連携にて『高齢者等終身サポート事業者ガイドライン』を作成し、各事業者が守るべき基本的なルールを作成しました。
ただ、これもようやくガイドラインが定まった段階であるので、当事者としては一体どこに依頼すればいいのか判断に困るでしょう。下記に3つのポイントをお伝えします。

①金銭の管理

特に金銭管理の問題には細心の注意を図るべきです。
通常、身元保証サービス事業者と本人が契約を行う場合、何らかの金銭をその事業者に預託することが一般的です。この金銭は当然ですが、本人の金銭ですので、その管理は身元保証サービス事業者の口座とは別口座で管理すべき金銭です。
さらにその金銭は、その事業者の経営状況や、債権者に影響されないものでなければなりません。
金銭の管理体制がどうなっているのか、十分な説明が要求されます。

②任意後見人との関係

身元保証サービス事業者が、本人の任意後見人になれるでしょうか。
施設等からの要望により実務的には、行われているようですが、任意後見人は本人の意思を代理する存在であることから、身元保証サービス事業者と利益相反関係にあります。
この状態であれば、身元保証サービス事業者=任意後見人=本人という構図になり、身元保証サービス事業者は本人の財産を自由に使うことができることになります。
これは高い倫理観をもって規律しないかぎり、事業者の恣意的な金銭使用を許す原因になります。
後見監督人の存在、家庭裁判所の介在もあるので、それほど単純ではないにせよ、原則として身元サービス事業者(及びその支配に属する法人・個人等を含む)は本人の任意後見人になるべきではなく、必要な場合は別の任意後見人を立てるべきでしょう。

③サービスの提供体制

身元保証人には迅速な対応が要求されます。契約内容にもよりますが、緊急時に駆けつけることも必要でしょう。身元引受人契約及び死後事務委任契約を同時に締結していた場合は、葬儀の手配、病院からの遺体の引き取り、その他の手続事務を迅速に行わなければなりません。
時間的に夜遅くに対応しなければならないこともあるでしょう。
これは人的体制が整っていなければ、すぐに対応ができません。十分な体制がないまま、身元保証人を引き受けることにより、依頼者本人の期待を裏切ることになってしまいます。

費用を確認する

身元保証サービス事業者の適切な対価はいくらなのか?
事業としてまだ新しく比較対象が少ないため、金額を判断することは難しいのですが、他と比較して明らかな質の差も量の差もないのにかかわらず、費用が高い場合は、その理由と根拠をしっかりと確認すべきです。
公的サービスを除き、全てのサービスは有料で行われています。(公的サービスも税金により行われますが)
そのこと自体に問題はありません。
この場合、ある程度業界の平均金額がわかるはずですので、その平均金額より極端に低い場合も極端に高い場合も注意したほうがいいでしょう。
極端に低い場合は、とりあえず契約を優先し、サービスを提供する体制が十分でないこともあり得ます。
極端に高い場合で、他と異なる特別なサービスも特にない場合は、利益の取り過ぎである可能性があります。
この業会自体が新しく、関連の法整備もまだしっかりしていない今だからこそ、そのようなこともありうるのです。

総じて、身元保証サービス事業は、現在必要な業務であり、これからもニーズの高まりは大きいと考えられますが、その分利用者の選択眼が必要になる時代になったと言えるでしょう。