認知症対策としての民亊信託とは

2018年10月22日

今後ますます多くなる認知症、その画期的な対策として注目されている民亊信託をご紹介します。
高齢になり、今後認知症の可能性がある場合、事前に家族の中で信用できる『受託者』を決め、自身を『委託者兼受益者』として民亊信託契約を締結します。
受託者には財産の所有権を移動しますが、そこから生まれる利益はあくまでも委託者が受け取ります。
受託者に所有権を移転することにより、自身が認知症になったとしても、受託者の判断で財産の管理・処分が可能です。
つまり、生前判断力のあるうちに、その財産の管理・処分について信頼できる受託者に任せてしますのです。
遺言でも同じように財産の移転は可能ですが、遺言の場合は死亡しなければその効果は生じません。
仮に認知症になり、後見人が指定された後は、財産は後見人の監督下に置かれ、自由に使うことはできなくなります。
又、この場合相続ではなく、信託法に則った契約に基づいて行うことになります。
民法の規定ではなく、信託法が適用され、相続ではないので遺留分減殺請求権は発生しないと考えられています。
本人(委託者)が死亡した場合、その受益者としての権利は消滅し、別に契約上指定した第二受益者に新たな受益権が発生します。(信託法91条)受託者が第二受益者になる契約にしておけば、スムーズな財産移転が可能です。
相続税に関しては、この時点で第二受益者にかかります。
民亊信託をしたとしても、最終的な相続税は変わりません。その意味では節税効果は期待できません。
しかし、遺言ではできなかった、様々な財産移転、管理、処分が可能になり、より被相続人の意思を実現することが可能になる方法が民亊信託です。

民亊信託に関すること、ご相談を受け付けしております。岡田行政書士事務所までご連絡ください。