生前対策いろいろ

生前対策いろいろ

2021年2月11日

生前の財産移転

1、生前贈与

生前に財産を相続人その他に譲り渡すことです。税金(贈与税)の問題がありますので慎重にしなければなりませんが、税金関係は税理士に相談しながら、教育資金の非課税、結婚・子育て資金の非課税、相続時精算課税の非課税などの制度を活用して、財産を生前に移転することも、生前対策の一つです。

2、居住用不動産を配偶者に贈与する。

婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与については、贈与税の特別控除の制度があります。
この場合、基礎控除110万円の他に最高2000万円まで控除できます。
この控除は同じ配偶者について1回だけ使えます。早めに配偶者に不動産を渡しておきたいときに活用できる制度です。

3、生命保険に加入

民法上、生命保険金は契約に基づき、受取人に帰属するものなので遺産分割の対象に含まれません。
そのため、保険金受取人を特定の相続人にしておけば確実に財産を移転することができるので、生前相続対策としては有効な方法です。
ただし相続税法上は、みなし相続財産とされているので、相続税がかかる場合はあります。
その他、親が保険料相当額を贈与して、(金額により贈与税はかかりますが)、将来親が亡くなったときに子供がその保険金を受け取ることにより、相続財産とならずに(遺産分割の対象とならずに)財産を受け取ることができます。(受け取った子供には相続税ではなく所得税がかかります。)
これは、子供が現金を受け取ることによる、散財防止対策としても使えます。

生前の契約

1、見守り委任契約

人は年齢と共に、体力や判断能力は衰えてきますので、定期的に様子を確認してもらう契約です。月に1~2回の訪問等で、話を伺い、状況の変化があった場合は関係者に連絡したりもします。
後述の任意後見契約と併せて契約すれば、任意後見受任者の段階で定期的に訪問等ができますので、スムーズに任意後見に移ることができます。

2、財産管理委任契約

判断能力ははっきりしているけれど、身体的につらくなっているので、早い段階で、財産の管理の全部又は一部を任せる契約です。同時に任意後見受任者になる場合もあります。(任意後見受任者とは、任意後見契約によって、将来任意後見人になる予定の人のことです。)

3、任意後見契約

判断能力が衰える前に、事前に自分の決めた人を任意後見人として指定する契約。公正証書によることが要求されますので、公正証書遺言と一緒に作成します。

これは自分の判断能力(意思能力)がある間に、契約することが必要です。誰を任意後見人にするかは自分が信頼できる人にできます。この人に自分が認知証になったときの施設の入所手続き、入院の手続き、お金の支払、その他不動産等財産の管理などの法律的な手続きの代理をしてもらいます。専門家に依頼することも可能です。

これは将来、判断能力に問題が生じたときのための契約です。そのため任意後見をスタートさせるには、契約した段階では任意後見受任なので、本人に必要な状況が生じた時点で本人、配偶者、四親等内の親族、任意後見受任者(任意後見契約をした人)から家庭裁判所に任意後見監督人専任の申し立てを行い、裁判所が任意後見監督人を指名した時点で、任意後見人となります。

自分の意思を尊重するという考え方から、任意後見契約は法定後見(後見、補佐、補助)に優先します。

任意後見契約は、生前対策として有効な制度なのですが、制度上の問題が指摘されている法定後見と比較してそれが普及していないという現実もあります。

4、死後事務委任契約

本人に、頼れる身内がいない場合に、専門家に亡くなった後の葬儀、納骨、遺品整理、役所の手続き等、最後の手続きを依頼する契約です。遺言書と合わせて作成することにより、安心な最後を迎えることができます。

以上、代表的な生前対策について簡単に説明しました。ただ、これを全部する必要はなく、個人がおかれた状況によってしたほうがいい生前対策は異なります。
又上記以外にも、不動産を多くお持ちの方でしたら、不動産の相続対策、会社の事業承継問題からエンディングノート作成、最近ならデジタル遺品対策等もあります。

まずは、何から始めるべきなのか?

生前対策に関するご相談、ご不明な点のお問合せは下記からお申込みいただければ、丁寧にご説明させていただきます。