親族間信託(民事信託)

親族間信託(民事信託)

2018年8月14日

相続手続きに広がりを生む制度として親族間信託(民事信託)が注目されています。
これは2007年(平成19年)9月に改正された信託法によるものです。
生前に親族間で委託者(財産を委託する人)、受託者(財産を任せる人)、受益者(信託の利益を受ける人)を決め、委託者の生前の意思を確実に実行に移すための契約です。
営利を目的としたものではなく、主に家族間で特定の信託契約を結ぶことにより、財産の処分・移転・管理を行うものです。
相続の制度とは別の制度ですが、相続的な内容を別の角度からアプローチできます。
これをうまく活用できれば、生前の相続対策に広がりが生まれます。
(注)
※家族信託という表現(登録商標)もありますが、これは民亊信託のうち家族間で行うものを表現したものであり内容は同じです。
※信託銀行などで行われているのは不特定多数の投資家を対象とした営利目的とした商事信託です。信託業法の規制を受けます。

これにより民亊信託単独、或いは遺言や成年後見制度と併せて活用できます

不動産信託

経済的価値のある財産であれば、全て信託の対象ですが、信託は特に不動産によく活用されます。
つまり、所有している不動産を信託財産として、受託者に信託することです。
不動産の信託登記(信託された不動産は、全て信託登記がされています。法務局等で調べるとすぐにわかります。)を行うと、名義は受託者(多くは子供が多いです。)に移りますが、その効果は委託者のものです。(委託者=受益者とした場合で、通常はこの形が多いです。)
つまり、高齢になると財産の管理・処分が難しくなるため、早めにその業務を子供(受託者)に任せてしまうという、生前対策の一つです。民法の相続の制度とは別の制度となります。
ただ信託契約で、相続が起こった場合には、その受託者を財産の帰属者としておけば、その効果は結果的に遺言と同じになります。
又特定の不動産だけを信託財産として信託契約の対象とし、その他の不動産は相続財産として分けることもできます。
つまり、信託契約と相続手続きは、相反するものではなく、補完しあう関係にあります。
なぜ、このような制度があるかと言えば、遺言はあくまでその不動産の所有者が亡くなって初めてその効果が生じます。
それに対して、信託は生前からその効果が生じますので、早めに対策ができ、柔軟な相続対策ができるからです。

その他の代表的な民亊信託契約

親族間の信託は、不動産信託だけではありません。
以下に代表的な信託例を挙げておきます。

1、親亡き後の障がいがある子供の財産管理

2、認知症になって、成年後見人がついても子や孫が自由な財産管理ができる。

3、遺言ではできない、二次相続、三次相続の指定(受益者連続型信託)の指定が可能となる。

4、共有不動産の共有状態の解消を行い有効活用が行いやすくなる。

5、年齢による事業継続の不安のため、事前に自社株式を後継者に移転する(経営の認知症対策)が、後継者が自立するまでしばらく自分が指導することができるようになる。(事業承継信託)

などがあります。その他にも、民亊信託を使うといろいろなことが可能になります。
遺言や成年後見などの制度と組み合わせることにより、今まで以上に柔軟な方法を考えることができるようになりました。

契約でする方法と遺言でする方法があります。基本的には家族、親族間の信頼をベースに行うものです。

難しそうな法律用語が並んでいますが、考え方はシンプルです。
家族のある人のために、その他の家族の人が代わりにやってあげる仕組みです。

基本契約事項であり、その内容を確実にするためにも、丁寧な打ち合わせと相互の信頼と理解が重要になります。
注意点もございますので親族間信託、不動産信託にご関心があられる方は、ご連絡ください。
お話をお聞きしたうえで、信託が可能なのか、又は他の制度のほうがいいのかも含めてアドバイスをいたします。