大阪の不動産に詳しい、行政書士の岡田です。
相続で不動産を取得した場合を含め、一般に不動産を売却するにはどのような手順を経て行うものか説明します。
不動産業者を決める
不動産を売ってお金に換えるには、まず最初に不動産業者に連絡する必要があります。
不動産業者には大手業者もあれば、大きくはないけれど地元の情報に詳しい地域の不動産業者もあります。
それぞれ長短がありますので、どこがいいかは一概に言えません。ただ、その特徴を知っておくことが大事です。
大手不動産業者は、その認知度を生かした営業ができます。広告も良く出しているので安心感もあるでしょう。ただし、会社としては大きいですが、その分担当者もベテランから新人まで多くいますので、その力量に差がどうしても出てしまいます。
地元の不動産業者の場合、大手ほど洗練されたものはないかもしれませんが、その分、地元密着で、細かいアドバイスを受けられるかもしれません。長年その地域でやっている人であれば、地域の人脈もありますので、そこが有利に働く可能性もあります。
価格査定を依頼する
相談する不動産業者を決めたら、次に行うことは物件価格の査定です。
不動産の価格は地域にもよりますが、変動しています。又相場というものも一応ありますが、これは目安であり、物件の個別性がとても強いのです。
隣どおしに並んでいる物件で、大きさにもそれほど差がない場合でも査定の結果、100万円以上の価格差が出ることは普通にあります。
査定法の基本としては、どこの不動産業者でも①近隣取引事例の調査 ②路線価の調査 ③現地物件の物理的な状況調査 ④物件の法的、制度的な制限調査 ⑤周辺環境の確認 ⑥近隣住民への聞き取り
等を組み合わせて行っているはずです。それに加えて担当者の主観もある程度入ります。
その調査結果を所定の書式にまとめ、売却希望者に提示します。
提示された価格の『根拠』をきちんと確認すること
不動産営業担当者の心理として、売却相談を受けた場合、とりあえず媒介契約を取りたいと思うのが普通です。そうすると、売主に気に入ってもらうために、高めの価格の提示をすることがあります。そんな価格で受けても、たぶん売れないだろうなぁと思いながらも、そうすることにより、媒介契約獲得できる可能性が高まるからです。
結局そんなことをしても、そもそも売れない価格なので、しばらく売れずに放置され、最終的に価格を下げることになりがちです。多少の高低はあるとしても、不動産は適正価格でしか売れません。
時間だけをロスしてしまう結果になります。
又反対に、口がうまい営業担当者がやりがちなこととして、きちんとした根拠もなく、相場より極端に安い金額を提示するケースもあります。
これは、売主が不動産の相場等にあまり詳しくなく、営業担当者の意見をそのまま信じてしまいやすいタイプの方の場合に可能性があります。
なぜ、そんなことをするかと言えば、相場より安ければ早期売却の可能性が高まり、仕事が早く済むからです。通常、どこの営業担当者でも、会社から多くの営業ノルマを与えられています。
月末なんかは、その追及でかなり追い込まれているはずです。そんなとき、目の前にすぐ実績を出せそうな物件があったら、どうするでしょうか・・・・。これは法的にはわかりませんが、少なくとも不動産営業担当者としてのモラルに反した行為だと私は思います。
もちろん、上に書いたようなことをしないで、誠実に、適切に、きちんと、根拠をもって不動産の取引を行っている営業担当者もいます。
いい不動産担当者の見つけ方
しかし、これは普通の人にとってこれは、簡単そうでなかなか難しいかもしれません。
誠実であることです。
では、不動産業務における誠実とは何かと言えば、それは事実を事実としてきちんと調べて、報告することです。
売りたいために、良く調べもせずに、口から出まかせでペラペラ説明するのは最悪のパターンです。そんなことをすれば、その不動産を買った買主に迷惑がかかるのはもちろん、結果として売主にも迷惑がかかります。
最低限の知識があるか
まず、営業担当者が『宅地建物取引士』の資格があるかは、確認してください。但しこの資格があるからと言って、不動産に詳しいかと言えば、実はそんなことはありません。不動産業務をやる上で、最低限の知識はありますよという証明でしかありません。しかし、この試験に合格しないレベルであれば、かなり知識としては不安があります。
そのうえで、本来実務経験年数が5年以上あればいいのですが、そうでない場合は、調査した資料、記録を見せてもらうといいでしょう。
周辺売買価格事例の調査、その方法、現地調査の記録、市役所等での聞き取り記録、その他資料をどれだけ誠実に調査しているかで、大体判断できます。
資料が多ければ、その結果にそれだけ信憑性も増します。この作業は地道でけっこう大変なので、それを見るだけでその営業担当者の性格がある程度わかります。
営業担当者としての意見はあるのか?
自分の考えをある程度の根拠をもって話しができるようであれば、『説得力があるかどうか』が確認できます。口がペラペラではなく、話下手でも説得力です。なぜかと言えば、いくらきちんと調べて、正しい根拠に基づいて売却している不動産でも、営業担当者に説得力が無くては、売れるもの売れません。この場合に説得する相手は、一般のお客様の場合もあれば、同業の不動産業者であったりします。
※不動産の情報はその業者で独占して販売するものではなく、情報共有して販売することが原則です。『囲い込み』をして、それすらできない不動産業者は排除すべきでしょう。
説得力のある営業担当者は、自分が担当する物件を販売してもらうために同業の営業担当者をも説得します。
又、理想を言えば、最近の不動産に関する制度改正、住宅ローンの内容改正、税金のこと、補助金のことなどが一通り説明できることがありますが、そこまでできる人は正直少ないと思いますので、ある程度でいいと思います。
一番大事なことは、自分と相性が合うかです。
いくら営業担当者が誠実でも、知識と経験と実績があっても、自分とフィーリングが合わない場合もあります。そんな場合はやめておくのも選択肢です。なぜなら、不動産取引はけっこうプライベートな面も教えないといけない場合もあり、時間的にも長く付き合うことも予想されるので、相性が合わない人に担当してもらうのは心理的にきついはずです。その結果、うまくいかなくなる可能性があります。ただ、実力のある営業担当者は、クセが強いことも多いので、その営業担当者の実力を理解されて大人の対応をされているお客様もおられます。そのあたりの判断はおまかせします。
以上、不動産売却のコツを書いてみました。
参考になれば幸いです。