戸籍の調査とその注意点

戸籍の調査とその注意点

2022年7月19日

堺市の相続手続きに詳しい、行政書士の岡田です。

相続手続きで、まず最初にすることは何でしょうか?
それは遺言書があるかどうか確かめることです。
遺言書がある場合と、無い場合ではその後の手続きが大きく異なります。

遺言書が無いときは、相続人全員で協議して、財産の分割方法を決めなければ、その財産はずっと共有財産のままです。これを遺産分割協議といいます。

ただ、その前に絶対にやらねければならないことがあります。
それは、相続人の確定です。
不動産の相続にしても、金融資産の相続にしても、その他の財産の相続にしても、とにかく相続人の確定が必要です。
遺産分割には、相続人全員の同意が必要であり、一人でも欠けたらその分割協議は無効です。

相続人を調べるとは、戸籍を調べることです。
戸籍は、本籍地の市町村で調べることができます。
これは住民票のある市町村と同じとは限りません。
自分の戸籍(本籍)がどこにあるかわからない(忘れた)ときは、簡単に調べることができます。
それは、住民票のある市町村で、本籍入りの住民票を請求すればいいのです。
そうすると、本籍が記載された住民票を得ることができます。

戸籍を調べることにより、亡くなられた方(被相続人)との繋がりを正確に確認します。
又、この作業をすることにより、自分たちが知らない相続人が出現することがあります。
親が再婚していて、再婚前の子供とか、認知していた子供とかがその代表的な例です。

遺産分割には、このようにして、判明した相続人全員の同意が必要です。
相続人が未成年者の場合で、親が相続人でないときは、親は法定代理人として未成年者の代理人になれますが、親も相続人であるときは、利害関係が相反するので、その親はその子供の代理人にはなれません。
この場合は、特別代理人の選任の申立てを家庭裁判所に行い、選任された特別代理人と遺産分割協議を行います。

又、兄弟姉妹が相続人の場合は、戸籍を調べる範囲がかなり拡がります。
被相続人の両親の出生から死亡まで全て戸籍を調べる必要があります。
その結果、自分の知らない兄弟姉妹の存在がわかったりします。

更に相続人が既に亡くなられていれば、その子供が相続人になります。(代襲相続人)

戸籍を調べるとき、同じ市役所で取得できるとは限りません。
結婚すれば、戸籍は変わりますし、離婚しても変わります。転籍をしても変わります。
昔の古い戸籍なら、家督相続があったり、分家があったりして、戸籍が移動します。
養子縁組のケースもあります。

同じ市町村だけではないので、別の都道府県の市町村に請求しなければならないケースも多々あります。
これが日本全国、場合によっては海外にまで広がります。

それに加えて戸籍が難しいのは、昔の戸籍がとにかく読みにくいことです。
墨で書いた筆記体で、旧漢字、しかも、薄れていて読みにくい、こんなものもたくさんあります。
いったい何て書いてあるんだ・・と、これを解読するのもひと手間です。

このように、戸籍調査は、簡単にできる場合は少なく、長く時間を要することが普通です。
従って、ある程度の時間的余裕を考えておいたほうがいいでしょう。

前にも書きましたが、遺産分割協議には相続人全員の同意が必要なので、戸籍調査をきちんとしないで、行った場合は無効になります。
せっかくの遺産分割協議が無駄にならないためにも、戸籍調査は慎重に行ってください。

当事務所でも、遺産分割協議のための戸籍調査業務を行っております。
相続人であったとしても、相続人全員の戸籍が代理で取得できるわけではないので、時間がかかる作業です。
専門家に依頼されたほうが効率的でその分時間も、短縮が可能です。

ご相談ください。