不動産の活用法、いろいろ。

不動産の活用法、いろいろ。

2021年5月4日

大阪府の不動産有効活用に詳しい、行政書士の岡田です。

コロナの時代、不動産の世界に不思議な現象が起こっています。

いや、世の中に不思議ということはなく、必ずそこに原因があるとすれば、この現象は必然なのかもしれません。

コロナで景気が悪くなっているにもかかわらず、大都市の不動産、中心部の不動産価格は上昇しています。取引も頻繁に行われ、不動産業者の間では、物件不足が生じています。

しかし中心部から離れた場所では、価格が下がり、取引も少なくなっていて、これは今の状況にあっていると言えます。

中心部の不動産価格の上昇がいつまで続くのか、それはわかりませんが、明らかに景気の動向とは関係ない力がそこに働いているようです。

その原因の分析は専門家にお任せするとして、今回のテーマは『不動産を守ること』について考えてみます。

2018年の総務省の調査によれば、空き家の数は全国で846万戸、空き家率13.6%となっています。

この比率はどんどん上昇しており、2021年現在では、空き家の数はもっと増えているはずです。

不動産の相続放棄の割合も年々増加していて、もはや中心部の不動産以外は負債の財産、

つまり負動産と化しています。

不動産は所有することによる、リスクがあります。

毎年の固定資産税の負担、老朽化建物の所有者管理責任、そのために生じる心理的負担もあります。

日本では、極端に新築志向が強く、中古住宅をうまく改良して、所有するとう考え方がまだまだ希薄です。

不動産屋さんの会話でよく出てくるのが「この建物は築20年を超えているから、評価ゼロですね」のような言葉です。

20年で価値がゼロ??

不動産といいながら、そてが本当ならそれは急速に劣化していることを表します。

金融機関もややもすると、そのような発想になっているところが多いようです。

「減価償却期間が過ぎているので、融資はできません。」

こんなことを平気で言います。

しかし、最近の住宅を見てみても、適切なメンテナンスさえしていたら、20年経過したぐらいで、価値がゼロになるとは到底考えられません。

不動産を守るということは、不動産の価値を維持することです。

消耗品のような発想になっている不動産を、資産、財産とするために守るのです。

不動産は残された人に残す資産です。

受け継いだ人が、その不動産を使って生活し、又は収益を上げるためのものです。

不動産を所有するということは、その価値を維持する責任があるとも言えます。

今回はそんな不動産の活用方法について、考えてみます。

自分で使う

自分でそこに住んだり、その不動産を使ってビジネスをしたりします。

自身の拠点としての使い方です。

人に有料で貸す

賃貸マンション、駐車場、貸店舗、貸倉庫、貸工場、資材置き場、貸農地など、何らかの対価を得て、不動産を貸すことです。安定した収入源になります。通常、管理は貸している側が行います。

人に無料で貸す

兄弟、親族、友人、知人など又は地域の自治会などに対し、対価を得ないで貸し出すことです。

不動産の有効利用としての意味があります。管理は通常、借りている側が行います。

売却する

所有している不動産を売却してお金に換えることも、不動産の活用法の一つです。今後地域による不動産価格の差が大きくなります。郊外の不便な立地の不動産は特に、価値が下がると予想されています。早めに売却することも選択肢の一つです。

信託受益権にする

信託とは、信頼している人に預けることです。信託銀行が行っている商業信託と、親族知人間で行う民亊信託があります。自分の不動産を預けて(名義だけ預ける人(法人)に変えて)そこから得られる利益ももらう仕組みです。これを信託受益権といいます。

贈与する

子供や孫、もしくは知人にお金を受け取らずに、あげることです。この場合税金(贈与税や登録免許税)の問題があり、そこは十分検討しなければなりませんが、住宅の相続時精算課税制度などをうまく活用することにより、子供や孫への財産の移転を早期に実行することができます。

交換する

相手との条件がうまくまとまれば、自分の不動産と相手の不動産を交換することができます。特殊なケースではありますが、不動産の状態、位置関係によってはそれがお互いにメリットがある場合があります。

転用する(用途変更する)

使用用途を変更することです。土地の転用であれば、住宅であった場所を店舗にするとか、工場跡地にマンションを建設するなどです。農地を農地以外にするには農地法の転用許可が必要になります。建物の転用は、最近では、住宅を民泊施設にするなどがありました。今後住宅を福祉施設に転用することなども期待されています。

補強する

旧耐震基準の建物の耐震補強、擁壁の補強などです。構造強度に問題があれば、不動産の財産的価値は下がります。補強することにより、その価値を増加させます。

造成する

土地の場合です。そのままの状態では使えない土地を人工的に変えることです。道路を作ったり、給排水管を引き込んだり、境界ブロックを積んり、分筆したりしてその価値を増加させます。

隣の土地を買収する

自分の土地だけでは、形や道路付けが良くない場合は、隣接地(又はその一部)を購入することにより、価値を何倍にもすることができます。特に道路の幅員の問題があるときは、この方法が有効です。

借地権を買い取る

土地を貸している人のことを借地人といいます。借地人の権利を借地権といいます。この権利は場所によって異なりますが、借地権のついていない土地(自用地といいます。)の60~70%です。ただし、借地契約の経緯によっては、借地人がいても借地権の設定が認められないケースもあります。土地所有者がこの権利を買い取り、完全な権利にします。

底地を買い取る

借地権を買い取るとは逆のケースです。借地人が建物が建っている土地(底地といいます。)を底地価格で買い取ることです。底地価格は自用地評価額×(1-借地権割合)です。

配偶者居住権を設定する

民法改正により令和2年4月1日より施行された、配偶者の新しい権利です。相続が起こっても配偶者がその家に継続して住むことができるようにするためと、遺産分割における配偶者の金融資産取得割合を増加させることが目的です。又相続税対策としても活用できます。

以上、不動産の活用にはいろいろなパターンが存在します。ご自身の不動産を今後どのようにしたらいいのか?迷われたときは当事務所でも相談を受け付けています。