遺言執行者は大事です。

2020年9月9日

遺言執行者を決める意味

大阪府堺市の遺言書に詳しい、行政書士の岡田です。

遺言は故人の最後の意思表示であり、尊重すべきものです。ただ実現しなければ意味がありません。そこで遺言を実現させる役割を持つ人として遺言執行者を指定できます。

遺言執行者とは、遺言の内容通りに実現させる権限のある人です。遺言執行者が指定されていると、遺言の履行は遺言執行者のみが行うことができます。(民法1012条2項)

遺言執行者がその権限内において、遺言執行者であることを示して行った行為は相続人に対して直接効力を生じます。つまり相続人は遺言執行者が決められている場合は、勝手に相続手続きはできないのです。

遺言執行者は遺言の内容を実現することが責務であり、相続人の利益のために職務を行うものではありません。旧民法では、「遺言執行者は相続人の代理人とみなす」と規定されていました。そのため遺言執行者の役割が曖昧でした。しかし今回の改正でその部分は削除されました。

遺言執行者は誰にすればいいのか

遺言執行者は、遺言書の中で指定できます。
相続人の一人でもいいですし、相続人以外の親族でもいいです。
又は、相続業務を取り扱う弁護士、司法書士、行政書士などの専門職でもかまいません。
ただ、相続人の中から決めてしまうと他の相続人からの反発の可能性もあるので、相続人以外の第三者がいいでしょう。
遺言書の中で指定がない場合は、家庭裁判所に遺言執行者選任の申立てを行い、家庭裁判所に決めてもらうこともできます。
専門職に依頼した場合は、報酬が発生します。これは一律に決められているものではありません。
ただ各専門職によってある程度の相場があります。
遺言書の中にその報酬が記載してあれば、その内容に従います。
記載がない場合は遺言執行者と相続人全員の話し合いによって、報酬額を決めます。
決まらない場合は、遺言執行者の申立てにより、家庭裁判所で決めてもらうこともできます。

金融機関と遺言執行者

遺言執行者には、預金の解約、払い戻しをする権限があります。
ただし金融機関の実務として、遺言書にその旨の表示があるほうが受入しやすいようです。
金融機関は相続人とのトラブルを避けるため、相続人全員の印鑑を要求することがあります。

一般的な規定があっても遺言執行者の権限については遺言の内容によって異なる扱いがされます。
そのため遺言執行者の権限については、遺言の内容つまり故人の遺志を確認し、それに沿って行うことが重要です。
遺言執行者は必ず決めなければならないものではありませんが、その重要性は増しています。
相続手続きをスムーズに行うためにも、遺言書を作成するときは、遺言執行者も一緒に指定されてはいかがでしょうか。