堺市、相続に詳しい行政書士の岡田です。
相続の手続きと一言で言ってもその内容は、たくさんあります。
生前対策と死後手続き
実は、これは相互に関連していて、生前対策の有無、その内容によって死後の手続きは異なります。人は誰でも必ず死ぬものなので、これは誰にでも関係する話題です。
生前対策は最近、『終活』という名で呼ばれたりしています。
人生の終わりに、自分の人生を整理して、残された人が困らないようにする、自分が死んだ後も、自分の意思を残すようにする活動です。
『エンディングノート』
エンディングノートも終活の一つで、自分に関すること、財産とか、連絡先とか、葬儀のこととか、認知症になったときの希望とか、終末医療のこととか、そんな内容や希望事項を書いて残すノートです。
これを見れば、後に残された家族が、本人の思いを知ることができるので大変便利です。
財産の処分のことに関しては、エンディングノートに書くだけではだめで、『遺言書』を残さなければなりません。
遺言書
遺言書は法定の決まり事があり、その通りに作成しなければ効果がありません。
自分の財産を特定の誰かに渡したいとか、分け方を決めておきたいなどの希望があれば、遺言書を書いておきましょう。自筆証書遺言と公正証書遺言があります。
自筆証書遺言は、作成方法が簡単なのですが死後に裁判所に検認という手続きが必要になります。公正証書遺言は、作成はちょっと面倒ですが、死後、裁判所の検認は必要ありません。
どちらがいいかは、そのときの状況に合わせて決めればいいです。
信託
もう少し複雑な取り決めをするには、『信託』という手続きがあります。家族信託とか、民事信託とか呼ばれたりしています。
これは、生前に自分の財産の処分について、自分が一番信頼できる人に任せることを、生前に契約することです。(他に遺言で行う方法もあります。)
信託は遺言よりも複雑な内容を決めることができます。ただ、その分その内容を決めるのは難しく、問題が生じやすいので専門家に相談したほうがいいでしょう。
ただ信託は最近よく耳にするようになった制度ですが、その制度・内容は複雑で、一般の方が理解するのは大変かもしれません。まして高齢者なら、なおさらです。又、信託でなければどうしてもいけないことは実はそんなにありません。内容をきちんと理解して行う分には問題ありませんが、専門家に勧められて、よくわからず、何となくいいのかなで、信託契約をすることはお勧めしません。
専門家に信託契約書を作成依頼すると、制度設計が難しい分、費用もある程度高額になります。
死後手続き
死後手続きについては、代表的なものは財産の名義変更・分配手続きです。不動産や、預貯金、株などが代表的です。
これは、遺言書があれば基本その通りに名義変更・分配します。
遺言書がなければ、相続人全員で遺産分割の話し合いをして、話し合いの結果内容で『遺産分割協議書』を作成し、相続人全員が署名・実印で押印します。
これを証拠書類として、不動産の名義変更や、預貯金の解約と相続人への分配を行います。
尚、遺言書に書いてある通りにしないことも、相続人全員の同意があればそれは認められています。
ただ一人でも反対者がいればできません。
不動産
不動産については、対象の土地・建物がわかっていれば問題ないのですが、よくわからない場合があります。特に、山林や原野などを所有していた場合です。
これを見つけるのは結構大変です。一応市町村役場にある、名寄せ台帳の閲覧をすれば、その人が所有している不動産が出てきます。ただし、それが全部とは限らないからです。(名寄せ台帳は税金のかからない不動産は出てきません。)
金融資産の調査
金融資産もどこにどれだけあるか、わからない場合、探すのは結構大変です。これも各金融機関に『名寄せ』を依頼して調べます。口座があれば残高証明書や取引明細書を取得します。ただ日本にある金融機関全部にこれを行うことは実際は難しいです。
このことから、相続人が後で困らないように、不動産の内容、預貯金や株の内容について、エンディングノートに書いておくことの必要性がわかると思います。
デジタル遺品
その他としては、携帯電話とかパソコンのデータです。デジタル遺品と呼ばれます。パスワードがあると自分しか確認できないのですが、それでも残しておいた方がいいもの、残してはいけないもの(そういうものも生きていればあると思います。)、これは早めに整理しておくべきでしょう。
今回は生前対策と死後手続きについて、ざくっと概略を書きました。
ご自身または、その家族の思い、ご都合もあるかと思いますが、ご準備は早めに、手続きは必要なことを的確に行うことをお勧めします。
何か、相談してみたいなと思われたら、当事務所までご連絡ください。
丁寧に説明させていただきます。