不動産を相続するときの注意点

不動産を相続するときの注意点

大阪府堺市、不動産の相続に詳しい、行政書士の岡田です。

今回は、不動産を相続するときの注意点について説明します。

1,自宅の場合

現在住んでいる自宅を相続する場合、その自宅の財産価値を算出します。

その上で、他の金融資産と合わせてその割合を確認します。これは相続人が数名いる場合、分割の方法の問題になるからです。

不動産の割合が8割以上など、その比率が高いときは、不動産を取得する人がそのままでは得をします。もちろん、相続人全員がそのことについて同意しているのでしたら、それはそれで問題ありません。しかし、その分け方に不満がある相続人がいる場合はすんなりとはいきません。

不動産を相続する人に金融財産があれば、その金融資産を他の相続人に、代わりに支払うことにより、この不平等を解消するという方法があります。(代償分割)しかし、この方法を取るには、不動産を取得する人に余裕資金がないと難しいです。もっとも(可能であれば)その分を金融機関より借り入れをして支払うこともできます。

まずは、この部分を話し合い、確認しなければなりません。

尚、不動産の名義を共有名義にして不動産を相続するという方法もありますが、これはその後、問題を生じやすいので、基本的にはおすすめいたしません。

次に、誰かがこの不動産を相続したとして、そこに住んでいる他の相続人やその関係者はどうなるのでしょう。相続後も継続して住むことができるのか、そうではなくて出ていかなければならないのか?

父親名義の土地・建物に、両親が住んでして、父親が亡くなり長男が不動産を相続したとして、母親は継続して住むことができるのでしょうか。親子の問題ではありますし、道義的には母親は当然継続して住むことができると考えたいのですが、そうではないケースもあるのが実情です。

長男が、相続した家を売却してお金に換えたいという希望があったりする場合は、売却に障害となる居住者を早く追い出して、売却の段取りを進めていこうとします。

こんな問題に対応するために令和2年4月1日以降に生じた相続について『配偶者居住権』という制度ができました。一定の条件を満たせば、夫婦の一方が亡くなった場合、残された配偶者は亡くなった人が所有していた建物に、亡くなるまで、又は一定の期間、無償で居住できる権利のことです。この配偶者居住権は登記することにより、第三者に対抗できるとなっています。

この場合、不動産を相続する人は配偶者居住権付きの不動産所有権を相続することになり、その相続税評価額は一般の不動産所有権よりも低くなります。

配偶者居住権の取得は、遺産分割、遺贈(遺言による贈与)、死因贈与契約、家庭裁判所による審判のいずれかの方法によることが必要です。

その他不動産相続のシンプルな方法として、特に住む人もいない、使用する予定もないということでしたら、相続した不動産を売却して、相続人全員にその金銭を分配する方法(換価分割)が選択できます。

この場合の注意点としては、果たして売却可能なのか。売却に当たって、問題はないのか? 解決すべきことがあるとしたら、果たしてそれは何か等の確認です。

2,収益物件の場合

賃貸マンションや賃貸アパート等、家賃収益が発生する不動産を相続する場合です。

この場合、管理会社と契約している場合は、管理会社への連絡も必要です。管理会社との契約がなければ、相続人から賃借人へ貸主の変更のお知らせ、振込先変更のお知らせをする必要があります。

収益不動産の名義をどうするか、つまり賃貸マンションや賃貸アパートの事業を引き継ぐ人を誰にするのか?

賃貸マンションや賃貸アパートの運営・管理はそれなりの経験と知識を要します。もちろん管理会社に丸投げであれば、そんなことも少ないのですが、それでも定期的な修繕費用や点検費用は発生しますし、その都度判断を求められますので、まったく関わらずに済ますことはまず無理でしょう。

したがって、収益不動産を相続する人は、それに対応可能な人がふさわしいということになります。

万が一でも、相続人の共有名義にして、家賃も相続人で分ける、管理費用や修繕費用もみんなで分けて支払うなんて決め方はやめておきましょう。絶対にトラブルの元です。

考え方としては、不動産の物件単独相続、他の相続人に不平等が生じる場合は、収益物件を相続した人が、他の相続人に金銭を支払う。

その金銭が不足するときは、その不足分を家賃収益の中から一定期間支払う、対応などが考えられます。

将来的に物件の管理・運営が難しいようであれば、相続のタイミングで売却するという選択肢もあります。そしてその売却代金を相続人で分割します。(換価分割)

これからの修繕費用や管理費用の負担を想定し、慣れない賃貸マンション経営をして失敗して、負債を膨らますより、適切なタイミングを計って売却することも、必要な選択です。

以上、簡単ですが、不動産を相続する場合の注意点について書いてみました。具体的には個別ケースによりさまざまなパターンがあると思います。

当事務所では、相続の事前対策相談から、相続発生後の具体的な手続き、不動産が関係する場合の相談と手続き、相続不動産の売却事前調査まで行っております。

お困りの場合は、ぜひお気軽にご相談ください。大阪近郊エリアであれば対応が可能です。