大阪府堺市の相続手続きに詳しい、行政書士の岡田です。
民法改正により、配偶者の相続上の権利が明確になります。
(施行日は平成30年7月30日から2年を超えない範囲内です。)
高齢化の進展により要望されていた内容です。 悲しいことですが相続が発生すると、配偶者は遺産分割の内容によっては、今まで住んでいた家を出て行かざるを得ないこともありました。 配偶者にとって、長年住み慣れた家を出て行くことは精神的にも肉体的にも大きな負担となります。 そこで改正民法では、要件を満たすことにより配偶者が終身その家に住み続けることができるようになります。
その要件とは
1、遺産分割又は遺贈
2、家庭裁判所の審判
ここで遺言の役割が大きくなります。 遺言で、『妻(又は夫)に配偶者居住権を遺贈する』と書いておけば、その通りになります。
ここで、注意点は家自体の所有権を遺贈するのではないということです。 これは多くの場合、遺産分割において配偶者の家以外の財産取得分が増えることを意味します。 例えば家自体の所有権の評価額が3000万円の場合でも配偶者居住権は1000万円ということです。 ただその評価方法はまだ正確には決まってないようです。
配偶者居住権はそれ自体で相続財産の一部となりますので、遺産分割に際して、配偶者は具体的相続分からその評価額を控除して財産を取得することになります。 しかし、それでも所有権自体を遺贈される場合と比較して、配偶者の相続分の残りが増えることになります。 これは相続財産として、家以外に預金などの金融資産があった場合、その金融資産の取得分が増えるのです。 今まで住んでいた家に死ぬまで住むことができて、さらに生活に必要なお金も手元に多く残すことができるということです。
以上が民法の相続法改正による配偶者居住権の内容です。