相続財産の分割、不動産が多い場合

相続財産の分割、不動産が多い場合

2023年8月8日

堺市の相続問題に強い、相続&不動産コンサルタントの岡田です。

今回は相続財産で、不動産が多い場合について考えてみます。
私も、日々のお仕事の中で、このようなケースに出会うことは多いです。

多いパターンとしては、父親が亡くなり、残った財産は住宅と預貯金だけ。

例えば住宅の時価が3000万円 預貯金は1000万円とします。

相続人は妻と子供が3人 合計4人

この場合は相続税の非課税範囲は3000万円+600万円×3人なので

4800万円>4000万円になり、相続税非課税の範囲です。

この家には、妻(母親)が居住している状態です。

均等に遺産分割

相続人全員で、仲良く均等に分ける方法です。
住宅は4分の1の共有登記、預貯金は一人当たり、250万円

住宅には、母親が引き続き居住する。この場合。母親が亡くなった後で、不動産の相続方法を3人で改めて、決めることになります。

ただ、共有登記というのは、その不動産を売買するなどの場合、全員の同意(署名・押印)が必要になるため、将来的に問題が生じやすくなります。

法定相続分で分割

法定相続分で分ける方法です。

母親 2分の1  兄弟姉妹 2分の1×3分の1=6分の1
この場合は、分け方に工夫が必要です。

遺産の総額が4000万円なのですが、その内、3000万円が不動産です。

妻(母親)に2分の1として不動産だけの共有持ち分の相続とした場合、不動産の持ち分は妻(母親)2000万円、残りの1000万円を兄弟姉妹で分割(共有)します。

問題点として、妻(母親)には預貯金の分配がないので、年金の他にお金があまりなければ、母親は生活に困ることことも予想されます。

このための対策として民法改正により『配偶者居住権』という制度が生まれました。つまり、配偶者の居住する権利というものを認め、その分を財産的価値に換算します。所有権ではないので、この評価は低くなり、妻(母親)も金融資産を取得する権利が生じます。

兄弟姉妹は、配偶者居住権付きの所有権を相続することになります。ただ、ここでもそれを共有登記にした場合、将来的に問題が生じやすくなります。

換価分割

住宅である不動産は売却して、現金化し、その代金を含めて相続人に法定相続分、又は相続人間で協議した相続割合で分配します。(換価分割)

妻(母親)の住居は、新しく探す(老人ホーム等の施設を含む)か、可能であれば兄弟姉妹の誰かと一緒に暮らす。

これは、一番シンプルな方法で、金銭的には結果的に問題が生じにくい方法です。ただ、妻(母親)の住居の移動が伴いますので、そこは慎重にすべきです。高齢者は環境の変化で心身共に体調を崩しやすく、場合によっては認知症等が進行する恐れもあります。

又、不動産を売却することが前提ですので、売却が可能な不動産なのか、流動性や、その他物件条件を、事前に調査しておいたほうがいいでしょう。

このように、不動産の割合の多い相続は、注意点が多くなります。

上記は相続税がかからない範囲でのお話でしたが、相続税はかからなくても、このように分割の方法で悩むことも多いのです。

参考までに、相続対策は大きく分けると3つになります。

1,分割対策

2,遺産の評価を下げる対策

3,納税資金の準備対策

不動産の割合が多いと、1~3が互いに絡みあって複雑になりやすいのです。何を優先的に行うかの検討も必要になります。トラブルが生じてからでは正直遅いので、早い段階での事前準備が重要です。

当事務所ではそのための対策をご提案しております。