大阪府堺市の遺言書に詳しい、行政書士の岡田です。
いざというときのための遺言書ですが、実は万能ではありません。
遺言書には限界があるのです。
欠点もあります。
また、堺市で行う遺言書教室でもお話をしようと思いますが、今回はその要点だけをお伝えします。
特に、自分だけで書くことができる、自筆証書遺言にはその欠点が出やすいです。
遺言書には法律で定められた書き方、方法があります。
それを間違えた遺言書は無効な遺言書になります。
例えば、日付、いつ書いたか、それが抜けていればダメです。
令和3年〇月吉日のようなものもダメです。吉日では、何日なのかわかりません。
自分の名前が抜けているのもダメです。ただし、本名ではなくても認められる場合があります。
その名前が誰のことか、一般的に知られていて、本人を確定できれば有効です。
遺言書に書く、中身についても、書いてもいいが、意味のないことがあります。
遺言で書くことができる事項は決まっています。
財産に関することや、身分関係に関することです。
それ以外のことを書いても、その部分は遺言書としては意味がありません。
※全く意味がないかと言えば、そうではなくて、相続人に本人の気持ちを伝えるという役割はあります。
また、自筆証書遺言は無くしやすいのが欠点です。
遺言書をいくら書いても、無くしてしまっては、元も子もありません。
相続する人に見つけてもらわなければ、遺言書としての役割は果たせません。
法律が改正されて、法務局で自筆証書遺言が保管できるようになりました。
(遺言書保管制度)
こういう制度も利用したほうがいいでしょう。
では遺言書の限界とは何でしょうか。
遺言は自分ひとりだけでできる、単独行為です。
だから、財産を受け取る人の意思は関係ありません。
いくら遺言があっても相続放棄や遺贈放棄という形で放棄することもできます。
また、後継ぎ遺贈と言って、遺言の効力発生後に受遺者(財産を受け取る人)が亡くなった場合、遺言者が指定する人に財産を渡すことを書いた遺言は無効になる可能性が非常に高いです。
つまり、遺言書には書いたけれど、内容によってはその通りにならないケースもあるということです。
このように遺言書には限界があります。しかし、それでも書いてあるのと書いてないのでは、相続人にとって大きな違いがあるので、遺言書は書いたほうがいいのです。
また、この遺言書の限界を補足する制度として、民亊信託という方法があります。
遺言書に代わるものとして、注目されています。
これは、簡単に言えば、財産を渡す人と受け取る人、そしてその財産を管理する人の間の契約です。
これを生前に行います。
制度的になかなか馴染みがないのが遺言書です。
ただ、財産の内容や、家族の関係によっては、遺言書を書いておいたほうがいいケースがあります。
また民亊信託については、これはもっと馴染みがないと思います。
もちろんこの制度も万能ではありません。しかし、有効な相続対策になることもまた正しいのです。
相続で懸念のある方、どうしようかなと考えておられる方、一度ご相談いただければと思います。